鰻がお重に入っているワケ
ライバル関係にある「うな重」と「うな丼」。
鰻はかば焼きとして、江戸時代中期に屋台で人気となり、その後、うなぎ人気がヒートアップし、江戸の4大屋台名物として、寿司、蕎麦、天ぷらの仲間入りを果たしたのです。
その後、江戸後期には、江戸の町に800軒ものうなぎ屋が登場。
屋台ではかば焼きから、うな丼として定着したのでした。
お重が登場するのは明治時代。
高価な漆のお重に入れることが考え出だされたのです。
その頃のうな重ですが、お重ゆえに、実は今のような1段ではなくて、ある理由から下に引き出しがついていました。
では、その理由とは何だったのでしょう?
【正解】
お湯を入れて冷めにくいようにしていた
【情報】
元々、庶民が歌舞伎鑑賞の際、ウナギが冷めないよう ご飯丼に入れたのが「うな丼」でした。
しかし、殿様用として丼を出すのは、庶民と同じ行為になるので許されない。
そこで、殿様用として高級感を出すために重箱に入れたのが「うな重」。
うなぎが冷めないようにと、重箱の下にお湯を入れる為の引き出しを付けたのでした。
保温効果は高まり、お殿様は満足。その結果、お重が庶民にも広まるようになり、うな丼からうな重へと食文化が変化したのでした。
ちなみに、静岡県伊豆「小川家」は、現在も重箱の下にお湯を入れ提供していると言います。
鰻は左から食べた方が旨い説
夏バテ対策にとウナギを食べる方も多いかと思います。
そのウナギ、お店で食べるとなるとやっぱりうな重をチョイスしますよね。
実はこのうな重には、最後まで美味しくいただく食べ方があるのです。
主に、うなぎの配置として、頭が左側にくる場合が多く、その場合、左から食べ始めた方がよいとされています。
では、うな重を左側から食べる理由とは何でしょう?
【答え】
脂分が少ない頭から食べ始めた方が、最後まで美味しく食べられるから。
【解説】
脂分が多い尻尾は最後に食べた方がよいと言われています。
それはなぜ??
もちろん、古今東西の食文化において、脂っこいものは、最後に食べるというのが定番です。
そして、脂分の多いうなぎを食べるのはあまり消化にいいとは言えません。
しかしそんな問題も、ウナギのお供である山椒が解決してくれるのです。
山椒は湿気をなくし、胃腸の働きを促進し、消化を助ける効能があるため、うな重と一緒に食べるにはぴったり。
その上、うなぎの油っぽさや臭みまで消してくれるので、一石何鳥にもなる優れものです。
ちなみに、どうしてうなぎには、山椒なのでしょうか。
消化を助けるのは、後で分かった効果であります。
うなぎが育つ水の綺麗な源流には、わさびや山椒も生育しており、同じ環境で育つ両者だからこそ、食べ合わせの相性が良いのではないかという説もあるのです。
ひつまぶしが、ぶつ切りになってるワケは?
ひつまぶしといえば、名古屋の郷土料理として有名です。
しかし、なぜ美味しい鰻の身を、わざわざ切って提供しているのでしょう。
理由として、戦後の食糧難の時、ひつまぶしが生まれたことに関係するのですが、
では、ひつまぶしがぶつ切りになった理由とは何でしょう?
【答え】
うなぎの質の良し悪しを分からなくするため
【解説】
細かく刻んだ鰻は養殖のなかった時代からあり、天然の鰻の質には、バラつきがあり、それを分からなくする方法で考え出されたのがひつまぶし。
特に、小さい鰻はゴムのように硬く客に出せるものではなかったのです。
そこで、そのため細かく刻んで大きな櫃に入れて、かき混ぜ、食べる人によって不平等がないようにしていたと言われています。
また、料亭発祥の説もあり、明治時代、名古屋の料亭で宴会の最後にうなぎの蒲焼を用意したところ、お客によってお腹の余裕に差があり、好みの量を取り分けしやすいようにうなぎを細かく刻むことにしました。